不動産投資の検討:④-2 リスクの対策

リスクは対策が用意されている

不動産投資は歴史が長いため、各リスクの発生率や発生した場合の影響がある程度分かり、それぞれの対策も充実しています。

空室リスク

まずは、空室が発生しにくい物件を選ぶことが大事です。駅近く・築浅・風呂トイレ別、など人気がある条件で選定したいところですが、それよりも家賃設定が相場通りかどうかが大事です。どんなに好条件でも相場より高い家賃だと入居者が見つかりにくく空室リスクが高まります。 サブリースをつけることで空室の心配はなくなりますが、満額の家賃がもらえなくなるし、損する可能性が高いので、おすすめしません。 日本財託は購入後5年以内であれば、空室3ヶ月目からは家賃の80%がもらえて空室期間中は委託管理料タダであるとか、reismはリノベーション物件は最初の入居者が入るまで家賃全額保(10日分の日割り家賃だけは免責)とか、不動産会社によってはサブリースじゃなくても部分的な家賃保証サービスがあるようです。 しっかり対策をしても空室は絶対に避けられないものなので、収支シミュレーションの際に空室率を高めに設定しておくことも対策になります。私は、空室率5%でシミュレーションしました。

家賃下落リスク

築年数の経過により家賃が下がるのは避けられませんが、家賃が下がりにくい物件を探すのが家賃下落リスクの対策になります。 空室リスク対策と同様に、周辺相場よりも家賃設定が低い物件を探すと今後の家賃下落リスクを下げられます。 不動産投資を始めたばかりの方は、家賃が安いということは家賃収入が少なくて損すると思われるかもしれません。物件の売買価格は手取り家賃を基準に決められるため、家賃が相場より安いというのは売買価格も相場より安いということなので、損ではなくむしろお得なことなのです。
逆に、例えばオーナーチェンジ物件で、現入居者が何年も住んでいるような場合、家賃が相場より高いこともあります。その場合は、入居者が変わるタイミングで家賃が下がる可能性が高く、家賃下落リスクという観点では購入を避けたいケースです。

建物管理費・修繕積立金上昇リスク

物件の売買価格は手取り家賃を基準に決められると前述しましたが、ここでいう手取り家賃というのは、家賃から建物管理費・修繕積立金を引いた金額になります。(別途、賃貸管理会社に払う管理費用もありますが、物件価格を決める際には考慮されないのが一般的です。) 管理費・修繕積立金上昇リスク対策という観点では、今の管理費・修繕積立金が安すぎてないか、という確認が大事になります。購入しようとしている物件の管理費・修繕積立金が安い場合、手取り家賃が適切な設定よりも高く設定されている=物件価格が高いということになるからです。 個人的な感覚では、20~25平方メートル程度の区分マンションの場合、最低でも5000円程度、10000円を超えていると一安心です。稀に、1000円台のケースを見かけますが特に築浅の物件の場合は今後上昇すると考えた方がよさそうです。例外として、業務用のテナントが入っていてそこからガッツリ徴収できているので住居用の積立金は1000円台で済んでいる、というケースもありました。物件の総戸数や設備の特徴により、いくらが適切なのかは変わってきますので、安すぎる場合は不動産会社の担当者に理由を聞いてみてください。 国交省のガイドラインでは、修繕積立金の目安は1平方メートルあたり170円~430円(階数や総面積によって異なります)が事例の3分の2の範囲のようです。こちらもご参考までに。
(国交省)マンションの修繕積立金に関するガイドライン(最終改正 令和3年9月)
大規模修繕の実態は、12~15年周期、1戸当たりの工事金額は100万円~125万円が多いようです。
(国交省)令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査(概要)
これらの資料から考えると、20~25平方メートルの区分マンションの修繕積立金は最低5,000円、10,000円を超えていると一安心という考えは今後の上昇リスクという観点では問題なさそうです。

滞納リスク

賃貸管理を委託する場合、ほとんどのケースで滞納保証がつき、保証会社に払う保証料も入居者負担なので、あまり気にしなくてよいかもしれません。 オーナーチェンジ物件は、現入居者に滞納保証が付いているかを確認したほうがよいです。物件を販売してそのまま賃貸管理を引き継ぐ不動産会社であれば、滞納保証が付いてないオーナーチェンジ物件は仕入れないのが普通だと思いますが、何事も自分で確認することが大事です。

売却価格下落リスク

前述したように、売買価格は手取り家賃を基準に決められるため、売却価格下落リスクの観点でも、家賃が相場より安いかや、建物管理費・修繕積立金が上がりにくそうかを確認するとよいです。

事故物件リスク

孤独死保険というものがあるようです。孤独死が発生する確率や受け取れる金額の1戸当たりの期待値を比較してみました。
  • 自殺・殺人も対象で、原状回復費用や家賃の補償もついた保険商品の保険料:年額3,600円
  • 受け取る保険金(≒未加入の場合に支払う費用)の期待値:年額1400円
    • 孤独死が発生した場合の損害額と孤独死保険から受け取れる家賃保証費用の平均額の合計は約92万円
    • 平成30年に東京都の単独世帯で孤独死が発生した割合は0.15%
万が一のために入るのが保険ですし、考え方は人それぞれだとは思いますが、私は孤独死保険には加入していません。個人的には、可能性が限りなく0に近い約92万円の突発的な支出に耐えられないようであれば不動産投資はしないほうがよいと考えています。入居者の年齢が高い物件を保有する場合は加入を検討するかもしれません。 <期待値算出に参照した諸元> ※年度がバラバラですが、概算ということでご了承ください。 東京都の単身世帯の孤独死人数:5513人(2018年) 東京都福祉保健局 東京都監察医務院【東京都23区合計】年齢階級(5歳階級),性・世帯分類別異状死数(自宅死亡) 東京都の単身世帯数:3,625,810世帯(2020年) 東京都 令和2年国勢調査人口等基本集計結果概要 孤独死の損害額と家賃保証費用の平均額の合計:約92万円(2021年) 一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会 第6回孤独死現状レポート(2021年6月)

修繕・現状回復

リスクというか、必ず発生するコストなので収支シミュレーションに含めておくのがリスク対策になるかと思います。 突発的な支出を避けたい人は、賃貸管理の不動産会社が出している設備保障プランに加入することで不必要な支出は避けられるかもしれません。日本財託の月額1,540円で設備保障プランや、RENOSYの月額3,000円~4,000円程度で設備保障と原状回復までしてくれるプランなど、いくつかありますので担当の営業さんに聞いてみるとよいと思います。 私は、設備保障プランには加入していません。耐用年数通りに交換が発生すればほぼトントンか加入しておいた方がオトクなのですが、故障するまで使い込むか、耐用年数大幅に超えていたら入居者入れ替えのタイミングで新調するというのが実態のようですので、実態通りであれば加入しない方がオトクだと考えたからです。耐用年数以内に故障するなど、設備保障プランに加入しておいた方がオトクになるケースもあり得ますので、これも考え方次第だと思います。

金利上昇リスク

金利上昇リスクに備えるには、固定金利を選択するのが一つの選択肢としてあります。ですが、固定金利は変動金利よりも利率が高いので、支払う利子が多くなってしまいます。 これも考え方によりますが、固定金利を選べる返済力があるなら、固定金利で借りたつもりで差額分を繰り上げ返済に充てたほうがよいのではないかと思います。 一定の頭金を入れる、繰り上げ返済するなど、借り入れ比率を下げることが金利上昇リスクの対策になります。

災害リスク

災害リスクへの対応は、火災保険・地震保険があります。火災保険はローンを組む際に加入必須だと思いますので選択の余地はありません。地震保険も、心配な人は加入した方がよいかもしれませんが、私は加入しませんでした。

未来のことは分からない。万一のことを想定しながら、覚悟を決めることも必要

不動産投資を始めて間もないのでまだ顕在化はしていませんが、今後、これらのリスクに関係あるできことが発生したら、お知らせしていきます。

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